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有限会社アロー技研 の日記

内緒にしておく美学

2011.11.17

学生の時分、他県で一人暮らしをさせてもらってました。

両親の思いとは裏腹に夜遊び三昧の毎日。

そのうち生活の軸はバイトへと傾き、昼と夜が逆転する始末。

今思えば、完全にとんでもない親不孝馬鹿息子ですね。 

そんな生活を送っていた頃のお話です。



馬鹿は馬鹿を呼び、同じような生活の友達とつるんでました。

その日も例によってバイト上がりから遊び始め、

夜明け前頃、連れが空腹を訴え始めました。

数分間の協議の末、連れの熱い説得に押し切られる格好で

当時大変お世話になってました、●さんうどん へ行くはこびとなりました。

夜明け前ということもあり、客席は当方二人と、一人の上品なご婦人のみ。

注文後、再び連れの熱弁が始まりました。

どうやら彼は、どういう訳か、このうどん屋さんのカレーに目が無いらしいのです。

カレー屋に食わせてみたいだの、ここでうどん食う奴の気が知れないだの、

念願のカレー摂取を目前に、テンションがコントロールできない模様。

しばらく黙って聞いてましたが我慢の限界が近づいて参りました。

と、そこへ例のカレーが運ばれて参りました。

さっきまでの超饒舌が嘘かのように、黙々とガッツク彼。

すると、先客のご婦人の話し声がフェードインして参りました。

聞き耳を立てなくてもはっきり聞こえました。

かなり憤慨なさっているご様子。

店員に対して

『 こんなに不味いもの初めて出されたわよ!これでお金取るつもりなの!』

と、一片の躊躇も無い怒号が炸裂しております。

高くて自慢の座高を更に高くし、ご婦人のテーブルを見遣りました。

カレーが乗ってました。



その席からは死角にあたる席で、彼は依然ガッツイてました。

一連の騒ぎの真相を、彼は今この瞬間もまだ知りません。












 

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