有限会社アロー技研 の日記
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一本!
2011.10.25
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前回に引き続き、今回も実務上の話題で記述させて頂きます。
悪しからず、ご了承下さいませ。
現在、RC5階建て新築物件のLPG設備工事を手掛けております。
ご存知の様に、躯体工事に伴うスリーブ工事が大きなポイントとなります。
これをしくじってしまいますと、後に余計な工数が発生し大変不合理です。
従いまして、 細心の注意を払って施工致します。
今回の物件は躯体の構造上、PS上部が梁になっており、
700mmのスリーブが必要でした。
スラブ配筋完了後、赤錆まみれの鉄筋上に腹ばいになりながら
ユニフォームに赤銅色のストライプ柄が入るのも嫌なので、
スラブ型枠張り後、すぐにボイド受けの金具を取り付けておきました。
非常に使い勝手がよいこの部材、『 ボイドストッピー 』 と申します。
何ゆえ、ストッパーではなくストッピーなのかは後日精査すると致しまして、
先へと進みます。
ストッピー君のおかげで、大きく傾くことなく立派な貫通部が出来ている模様。
いよいよボイド撤去でございます。
90φ×700mm ともなりますと、なかなか厄介な場合がございます。
途中で千切れたりしますと、ボイド中央部の撤去が益々面倒になりますしね。
千葉真一氏のものまねで気合を入れた後、いざ撤去でございます。
結果。
まるまる一本抜き取ることが出来ました。
躯体から、存在感満点のボイドがズルズルズルと登場するのは、
さながら良質な筍を掘り当て、完全体で収穫するような感動がございます。
筍掘りの経験はありませんが、きっとそんな感動だと思います。
その感動を込めまして、これを
『 一本抜き 』
と呼んでおります。
なんだか下品な響きではございますが、快感でございます。
勿論、メインは貫通ではなく配管です。
貫通が成功しますと、必然的に配管も上手くいきます。
この段で気にかかるのは、モルタル充填です。
90φ×700mm の隙間に充填するモルタルは大量です。
一度に充填しようとしますと、底部のAパッドが重みに耐えきれず
モッコリと膨らんでしまいます。
ですから、二回に分けて充填を致します。
一回目は、いわゆるモッコリ重量未満だけ充填し、
それが乾燥した後に二回目の充填で仕上ます。
(モッコリ防止策として底部に板を当てる場合もございます)
このように、RC物件は結構な手間暇が掛かりますが、
我々アロー技研、一切の妥協は致しません。
完工後の達成感を味わうため?
いいえ。
何よりもお客様のご満足のために。
写真は良質な筍です。
嘘です。
一本抜き後です。
