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有限会社アロー技研 の日記

蓮根畑じゃありません

2012.10.05

先日も、バルク貯槽安全弁の交換作業に出向きました。

今回のクライアント様は、機器の期限管理に対する意識の高い販売店様でした。

従って使用期限の超過もなく、連結弁の動作不良以外の不具合は想定しておりませんでした。

上記の連結弁に関しましては、様々なケースに対応しうる経験と技術を有しておりますので、

有事の際も狼狽することなく対処できます。

しかし今回は想定外の状態を目の当たりにする事となりました。



プロテクタと安全弁の位置関係から判断するに、最初に放出管を取外した方が良さそうだ。

先端のレインキャップも見る限り健在。

よっしゃ、外しましょう。

と、外した刹那、安全弁廻りが大洪水でございます。

すぐさま雨水だと判りましたが、何ゆえ侵入したのか?

レインキャップを凝視するも破損部位なし。

放出管も然り。

ん~。

原因不明のまま、クライアントに架電し状況を説明しました。

すると、『 レインキャップが外れていた事があった 』 とのこと。

あんなもん、自然に外れる事はほぼ有り得ません。

放出管内の圧力上昇で外れるケースも、ほぼ想定出来ないとのこと。
(↑某安全弁メーカー営業マンY氏の見解)

残るは、愉快犯による全く不愉快な犯行か?

さもなくば、安全弁の正常な作動。

そこで、貯槽を加熱するような条件を探してみるが見つからず。

消去法ではあるが、下記の様なケースに行き当たる。




29 バルク貯槽の安全弁が作動するケース

現象 : バルク貯槽の安全弁が作動する。

要因 : 押し込み充てんを行った場合、バルク貯槽の内圧上昇が予測され安全弁の設定圧力

以上に上昇することが懸念される。

現在までに内圧上昇が原因による安全弁作動は報告されていないが

「KYT」(危険予知訓練)等で認知しておく必要がある。

根拠 : 押し込み充てんの場合は、受入側バルク貯槽の内圧が上昇し、

 最悪バルク貯槽の安全弁が作動することが懸念される。

その根拠を例として示すと

① バルク貯槽の安全弁設定圧力が1.8MPa(+0)であり、吹き始めのマイナス側の

公差を最大で計算すれば、1.8×0.9=1.62MPaとなる。

② 夏季において外気温上昇によりローリ内圧が1.3MPaと仮定し、ポンプ吐出圧力が

0.3MPaとした場合1.3+0.3=1.6MPaとなる。

③ 結果として、バルク貯槽安全弁設定圧力を近い値となり安全弁が作動することとなる。


理論 : 圧力・温度の関係から、押し込み充てんにより内圧が上昇しても一定圧力以上と

なった場合はガスは液化される(圧力が下がる)が、バルク貯槽表面温度が液温以上  

に上昇しており理論上の液化が進行しない状態のため圧力上昇が更に起こるのではな

いかと推定される。


対策 : ローリに圧力計が設置されており、充てん開始前に圧力を把握し、押し込みによる

圧力上昇が想定される場合は、早めに充てんを停止する。


LPガスバルク供給
ヒヤリ・ハット&事故事例集
経済産業省原子力安全・保安院
高圧ガス保安協会    より抜粋




というわけで、机上の空論感も否めませんが、情報として知っておく価値はありそうです。

良い勉強をさせていただきました。

どうもありがとうございました。


最後に、件の撤去安全弁の画像を掲載しておきます。

こんな安全弁、良いわけがありません。

賢明なるLPG供給業者様におかれましては、ドレンの定期的なメンテナンスを

敢行して下さいます様お願いを申し上げまして結ばせて頂きます。

蓮根畑じゃありません

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